「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」の頭文字を取った「5S」。効率の良い作業、正確な情報が求められる医療現場では、特に5Sへの取り組みが重要とされています。
整理整頓がうまくできていなければ、小さなミスが発生し大きな事故につながることも考えられます。それほど重要となる5Sですが、病院での5S活動のカギとなるのが収納です。
そこで今回は、医療の安全と信頼を高めるための5S活動と収納について解説します。
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病院・クリニックで5S活動を行う目的
ここでは、病院・クリニックで5S活動を行う目的について詳しくご紹介します。
医療事故の予防
医療現場では、ちょっとしたミスが大きな事故につながります。
投与する薬や使用する器具は、患者によって異なります。カルテやメモが別の場所にしまわれていた、いつもある場所に薬や器具がないとなれば大きな問題となります。
薬剤や器具が、常に分かりやすく整理・整頓されていれば、緊急の治療でも慌てずに用意することが可能です。
他にも、床がぬれていたり、物品を置きっぱなしにしてしまったりしていれば、医療従事者や患者が転倒してしまう恐れもあるでしょう。整理・整頓・清掃を心がけることで、小さなミス・大きな事故の予防につながるのです。
業務効率化・残業時間削減
患者の状況によっては、迅速な治療のために治療器具をすぐに用意しないとならない場面もあるでしょう。そのときに、探すのに時間がかかり治療が遅れては一大事につながることもあります。そのため、収納の際は探す手間が少なく、また間違えずに取り出せるようにする工夫が必要です。
よく使う薬や器具、文具や書類は、定位置に分かりやすいように整理整頓しておくことで、探す手間が減ります。効率よく業務にあたることができるので、残業時間の削減にもつながるでしょう。
衛生面の安全性向上
作業台や薬剤が収納されている場所などがキレイになっていないと、雑菌などが繁殖してしまう恐れがあります。感染症拡大の原因となる恐れもあるため、常に清掃をして清潔にする必要があるのです。
清潔にしておくことで、異物や、別の薬剤が混入するなどの事故防止にもつながります。
患者の安心感
診察室や受付は、患者やご家族からも見える場所です。そのため、受付にカルテや資料が散らかっていたり、薬剤が整理されていなかったりする部分が目につけば、不信感を抱かれることもあるでしょう。
常に医療現場が整理・整頓されていて、清潔であれば患者も安心して通院を継続することができます。
病院・クリニックでの5Sの進め方
5Sを進めていくことが大切だと分かっていても、なかなか踏み出せていない病院・クリニックもあるはずです。今まで以上に5Sを促進するために、病院・クリニックでの5Sでの進め方についてご紹介します。
整理
整理は、まずいらないものがないかをチェックしていきます。整理がされていないと、使用期限が切れた薬剤や使っていない古い器具なども一緒に保管してしまっている場合もあります。古いものは、急いでいるときの邪魔になってしまうことも。特に、古い薬剤の使用は事故につながることもあるため、使用期限などをこまめにチェックしておく必要があります。
カルテや書類については、保管期限が決められています。処分をする際は、保管期限を確認してからするようにしましょう。
収納の見直し
収納は、備品や薬剤などがすぐに取り出しやすいか、清潔であるかがポイントです。中身が見えるクリアケースに入れることで、収納されているものがすぐに確認でき、取り出しやすくなります。
また、収納しきれないものがある場合は、在庫過多になっている可能性もあります。使用頻度にもよりますが、発注が過多になっていないか、在庫の適正量を確認しましょう。
他にも、収納の際は、複数で1つの仕事をするグループを作ってことをおすすめします。薬の近くに薬袋を置いておくなどしてグルーピングしておくことで、作業効率の向上につながります。
整頓
整頓の際は、すぐに取り出せるように、場所を決めることが大切です。収納ケースに、中に入っているものが分かりやすいように表示しておくと良いでしょう。また、毎日使うもの・週2~3回使うもの・週1で使うものなどと使用頻度によって分けていきます。使用頻度が多いものは、すぐに取り出せる位置に置いておくのがポイントです。
清掃
使用する器具や院内の掃除をこまめに行い、常に衛生的な環境を作っていきます。日常的にキレイな環境づくりを意識することで、汚れや不衛生な部分を常に確認でき、安全管理も可能です。
また、清掃の際は、器具の点検も実施しましょう。いざというときに、器具が破損・汚れていると、適切な治療ができなくなってしまいます。器具は、常に良い状態にしておき、いつでも使用できるようにしておきます。
清潔・躾
清潔は、整理・整頓・清掃を維持することです。感染病を予防するためにも、整理・整頓・清掃をこまめに行い、常に清潔な状態にしておきましょう。そのためには、整理・整頓・清掃を習慣(躾)させることが大切です。
5S活動を定着させるコツは「収納」!
整理・整頓・清掃は、心がけや意識だけで習慣づけることは難しい部分があります。整理・整頓がしやすい環境、こまめな清掃を心がけられる環境づくりにすることも、とても大切です。
例えば、探す・取り出すことに時間がかからないようにしたり、仕組み化させたりします。そのためには、収納を改善し、外的要因を変えることで半強制的に習慣づけることが大切です。収納は、5S活動においてとても重要だといえるでしょう。
病院・クリニックにおすすめの収納用品紹介
5S活動の取り組みには、収納が大切とはいえ、どのような収納用品を用意すれば良いのか迷うこともあるでしょう。ここでは、院内の場所別におすすめの収納用品をご紹介します。
カルテ棚におすすめの収納用品
カルテ棚には、カルテだけでなくFAXや複合機などを設置することも多いため、書類だけでなく電子機器も置きやすい棚がおすすめです。
シェルフのワイヤーが横張りのため、収納したものが隙間から落ちる心配がなく、書類収納に適したスチールラックです。
横幅35cm~90cmのサイズ展開から、5cm刻みで希望のサイズを選ぶことができます。1台での使用はもちろん、複数のラックを組み合わせてジャストサイズの収納スペースを作るのも良いでしょう。
状況に応じてフレキシブルに使い方が変更できるスチールラックなら、限られたスペースを有効に使うことができます。カルテだけでなく、FAX、コピー機など、受付で必要なものを全てこの1台にまとめて収納することで、動線が短くできるので作業効率も上がります。
利用頻度に合わせた配置場所のルール決めがおすすめです。取り出し頻度の多いものは、目線から腰の高さに収納すると、取り出しも片付けも便利です。高さも、女性でも背伸びせずに無理なく使える151cmサイズになっています。
転倒対策をお考えなら、スチールラックとつっぱり棒が一体になったテンションラックが最適です。テンション(つっぱり)ポールで、天井とスチールラックをしっかり固定して転倒防止できます。組み立てには、工具が不要なので、設置も簡単です。
動線をコンパクトにまとめるには、空間を生かした高さがある収納がマストです。
とはいえ紙のカルテは重く、万が一の転倒は心配になるかもしれません。
このテンションラック(突っ張りラック)は、ポールが天井とスチールラックの間でつっぱって、転倒を防いでくれる効果が期待できます。またワイヤーが横張りなので、間からものが落ちる心配もありません。
ポールと一体型なので見た目がすっきりしていて、圧迫感がないのも人気の理由です。
病院受付におすすめの収納用品
受付は、患者が病院に入ってから一番に行く場所です。初めの印象は、長期間記憶されます。そのため、受付での印象が病院自体の印象を左右するといっても過言ではありません。机が散らかってしまわないように整理整頓が必要です。
特に文具は、バラバラになりやすいため定位置を決めておかないとなくしてしまうこともあります。受付は文具などの備品をしまっておけるような収納がおすすめです。
キャスターが付いたワゴンタイプのスチールラックです。落下防止のサポート柵と取っ手がついているので、持ち運びや利用頻度が多いアイテムの収納や移動にも最適です。
ものの取り出しや片付けがしやすく、コンパクトなので袖机代わりにお使いいただくのもおすすめです。
キャスターが付いているので、右に置いたり左に置いたり、業務に合わせて場所を簡単に移動できます。中のものが見やすいので、必要なものがどこにあるのか誰にでもすぐ分かるのもメリットです。
忙しいときのうっかりミスを防いだり、ものを探す手間が省けるので、とっさに慌てることが少なくなるでしょう。
ちょっとしたすき間を賢く使って有効な収納スペースにできるスチールラックです。
幅20cmですき間収納に最適なキャスター付いているため、気軽に移動させることもできます。高さが155cmあり、 6段に分けて収納できる大容量サイズです。
コンパクトながらも収納力があるため、スタッフ共有で使う文具や雑貨などを、用途別に分類して収納するのに便利です。
必要なときだけ引き出して、使い終わったらすぐにすき間にもどしておけるので、ワークスペースの邪魔になりません。
ナースステーションにおすすめの収納用品
ナースステーションでは、書類や医療機械・器具の収納が必要です。重量があるものが多いため、耐荷重が大きい収納用品が良いでしょう。
シェルフ1枚の耐荷重は250kgなので、重量のあるものでも収納できるスチールラックです。棚板の高さを2.5cmごとに調整でき、また棚板の追加もできます。
忙しいときのとっさの判断ミスなどのヒューマンエラーを防ぐためには、誰が見ても分かりやすく識別しやすいよう、ものが整理されていることが重要です。
ルミナスのスチールラックは中がすっきりと見やすいだけでなく、棚板の高さを調整し、収納したいものにあわせてスペースを作ることもできます。
棚板ごとに収納するアイテムをグルーピングして収納する、体感的に判別しやすいよう棚板の高さをアレンジするなど、メリハリをつけた活用方法がおすすめです。
診察室・検査室におすすめの収納用品
診察室や検査室では、器具を移動させることもあるため、収納用品は移動しやすい収納用品の利用がおすすめです。
ルミナスラックの最上級シリーズであるプレミアムラインのスチールラックです。
すずメッキコーティングにより、高い抗菌性・防さび性を実現した医療環境に最適なシリーズです。ステンレスより割安なのに、衛生的なコストパフォーマンスの高さも魅力のひとつとなっています。
診察室や検査室で使うものは本体の抗菌性の高さに加え、消毒・殺菌作業などのお手入れのしやすさも求められます。ソリッドシェルフタイプのラックはすき間がないので、比較的簡単に消毒作業を行うことができます。
立ったままの作業でも使いやすい高さで、診察に必要な小物の置きやすさや、見た目の美しさも、選ばれる大きな理由です。
病院内の整理収納に役立つラックパーツ
スチールラックは、仕切りがないため、キレイに収納できないのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。また、側面や背面からものが落下してしまう心配もあるでしょう。ここでは、そんなときに役立つラックパーツをご紹介します。
[25]ディバイダ[棚板間仕切り]
https://www.luminous-club.com/category/rack-parts/pole-25mm/other-parts/divider/
棚板のワイヤーバーに挟むだけで簡単に取り付けられるディバイダです。上下どちらにも取り付けることができます。
書類のグルーピング分けを示す目印や、ものが倒れるのを防ぐ仕切りとして使用するのがおすすめです。
サポート棚は、側面や背面に設置することで、収納したものの落下を防いでくれます。取り付けもワイヤーに挟むだけなので、簡単に設置可能です。
ファイルを収納する際や、倒れやすい薬剤などを収納する際、サポート棚があると落下防止することができます。
病院でのスチールラックを使った収納改善事例
千葉県船橋市にある 邦和会 船橋クリニック様では、「空間を有効活用し、整理整頓を行いたい」という課題を解決するべく、ルミナスプレミアムを導入いただきました。よく使う器具や薬剤などの収納のほか、医療服の収納や作業台としてもご利用いただいております。
おわりに
今回は、医療の安全と信頼を高めるための収納についてご紹介しました。
5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を実施することは、小さなミスの予防・大きな事故の予防になります。作業効率も上がるため、5Sの促進・実践とても重要です。そのためには、いらないものや不要なものを処分し整理整頓をすることが大切です。そこでカギとなるのが収納です。収納を見直しましょう。